特定調停
特定調停も任意整理と同じように、お金を借りた人とお金を貸した人が、話し合って解決する債務整理の方法です。このため、特定調停は裁判所を利用した任意整理とも言われています。
そこでこのページでは「特定調停」を「任意整理」との違いに焦点を当てて紹介します。
特定調停と任意整理の違い
特定調停と任意整理の最大の違いは、裁判所を利用することです。
任意整理の手続きには裁判所は関与しませんので、貸金業者と直接交渉する必要があります。このため、司法書士などの専門家に依頼しなければ、なかなか合意できないのが現状です。
特定調停は、貸金業者とお金を借りた人の間を裁判所が仲裁します。貸金業者と直接交渉する必要はありませんので、司法書士に依頼しなくても、合意可能です。
このため、特定調停は弁護士や司法書士への費用が工面できない場合に利用されることが多いといわれています。
また、弁護士や司法書士に依頼した場合は、特定調停よりも任意整理の方がスムーズに手続きが進むので、特定調停を行うことは稀です。
特定調停と任意整理の共通点のメリット
- 取り立てがストップする
- 裁判所に特定調停の申立てを行うと、貸金業者が取り立てを行うことを禁止されます。特定調停の申立ての準備を始めただけでは取り立ては止まりませんので、取り立てに悩んでいる方は、なるべくはやく申し立てをした方がよいでしょう。
- 返済を停止できる
- 裁判所に特定調停の申立てをした後、特定調停をおこなっている間は、返済を停止してもらいます。ただし、任意整理と異なり、この返済を停止している間の遅延損害金が発生する場合があります。
- 3年程度の分割払いにできる
- 残金を3年程度の分割払いとなるケースがほとんどです。
- 残金に対する利息がゼロになる
- 将来の金利がゼロとなるケースがほとんどです。
- 官報には掲載されない
- 特定調停は裁判所が関与しますが、自己破産のように債務整理をしたことを官報に掲載されることはありませんので、任意整理と同様に、職場や友人達にしられることはありません。
返済条件は、特定調停であっても任意整理であっても同じ条件になることがほとんどです。
特定調停と任意整理の共通点のデメリット
- 保証人に迷惑がかかる
- 保証人がついている借金の特定調停を行った場合、貸金業者は保証人に対して、特定調停前の全額を請求します。保証人がついている借金の特定調停を行う場合は、事前に保証人と話し合いましょう。
- 個人信用情報に掲載される
- いわゆるブラックリストと呼ばれている、銀行協会などの個人用情報に掲載されます。ブラックリストに掲載されると、5年間程度、住宅ローン、車のローン、キャッシングなど、新規にお金を借りることができなくなります。
特定調停だけのメリット
特定調停は任意整理と比較すると
- 司法書士などの専門家に依頼しないので費用が安い
- 司法書士等の費用がかかりません。裁判所によって異なりますが、費用は借入先1社あたり1,000円以下です。
- 複数の借入先をまとめて交渉できる
- 任意整理は借入先ごとに交渉する必要がありますが、特定調停は借入先とまとめて交渉をしますので手間がかかりません。
- 給料の差し押さえなどの民事執行手続きを停止できる
- 特定調停の手続きは裁判手続きなので、手続き開始後は給料の差し押さえなどの民事執行手続きを停止できます。
などのメリットがあります。
特定調停だけのデメリット
特定調停は任意整理と比較すると
- 平日に数回裁判所に出向く必要がある
- 申立や調停の期日(話し合いの日)など少なくとも2回以上は、あなた自身が平日に裁判所に出向かなければなりません。
- 支払いが滞ると、給料や財産を差し押さえられる
- 特定調停で決定した内容には、調停調書に記録されます。そして、この調停調書には裁判の判決と同じように強力な効力があります。
貸金業者は債務者に対して、特定調停以前の金額は請求できなくなります。その一方、返済が滞った場合は、貸金業者は裁判を起こすことなく、債務者の給料や財産を差し押さえることができます。
- 過払い金を取り戻すには別の手続きが必要になる
- 任意整理を司法書士等に依頼した場合に、借入先の中の何社かが過払いになっていた場合は、任意整理も過払い請求もまとめて処理してもらえます。
しかし、特定調停では過払い金を取り戻してもらえません。別途、自分で手続きするか、あらためて司法書士等に依頼する必要があります。
司法書士等に依頼せずに、特定調停の申し立てを行う場合は、事前に十分な調査を行ってから申立てをするようにしましょう。
町田市の青木司法書士事務所では、ご自分で裁判所に出向くのがむずかしい方や、手続きを自分で行うのが不安な方のご相談・ご依頼を承っております。
町田市の青木司法書士事務所は、小田急線町田駅北口から徒歩5分(横浜線町田駅北口から徒歩10分)です。町田駅から町田市役所方面に向い、河合塾町田校を目印にお越しください。