自己破産
破産とは、裁判所が関与する債務整理の手続きで
- 現時点での財産(生活必需品を除く)を売却したお金で借金を清算する
- 清算して残った借金は免除する
ことにより、借金で苦しんでいる人を救済し、再スタートを切るチャンスを与えるために作られた制度です。
会社の経営が破綻しているのに、経営陣が会社の財産を隠したり浪費している場合などには、債権者側から会社の破産を申し立てることもできます。
これと区別して、個人が自ら破産を申し立てることを自己破産と呼んでいます。
このページでは自己破産について紹介します。
自己破産の特徴
自己破産は、債務整理の方法のなかで、債務者を救済する力がもっとも強いといわれています。
しかし、自己破産と聞くと、いろいろな権利を奪われたり差別を受けるなど、今後生きていく上でさまざまなデメリットがあるのではないかと心配して敬遠される方が多いようです。
実際には、世間で噂されているような一生負い目に感じなくてはならないほどのデメリットはありません。
もちろん、自己破産に限らずすべての債務整理の手続きには、かならず一定のデメリットがあります。
そのデメリットをよく理解し自己破産によって受けられるメリットと比較すれば、勇気を持って人生の再スタートが切れるのではないでしょうか?
裁判所の決定
自己破産における裁判所の決定には、おもに3つの決定があります。
- 破産手続き開始決定
- 裁判所が債務者は支払い不能状態にあると認定して、債務者の財産の清算手続きをこれから開始しますよという裁判所の決定です。破産手続き開始決定がされると、官報に掲載されます。
- 廃止決定
- 債務者の財産から清算に必要な費用をねん出できず、債権者に財産を分配できない場合に、財産の清算手続きを終了させるための決定です。破産手続きを開始する前から費用倒れである事が明らかである場合は、前の破産手続き開始決定と同じ日に廃止決定されます。この廃止決定は破産手続き開始決定と同時にされるため、「同時廃止」と呼ばれています。
財産が一定の額を超えている場合は、廃止決定はされずに、管財人が選任されて財産の調査を行う手続きを行います。
- 免責許可決定
- 財産の清算手続きを廃止もしくは終結した結果、残った借金については支払いの責任を免除するという裁判所の決定です。免責許可決定がされると、官報に掲載されます。
ギャンブルや浪費による借金など、借金を免除することが正義に反すると裁判所が判断した場合には、免責許可の決定はされません。この不許可の原因になるような事情のことを免責不許可事由といいます。
免責許可の決定がされなかった場合は、残った借金を返済する義務は残ったままになります。
免責許可決定は自己破産のもっとも重要な決定といえます。免責許可がもらえないような事情がある場合は、民事再生など自己破産以外の手続きをお勧めします。
自己破産のメリット
- 取り立てがストップする
- 自己破産を弁護士や司法書士に依頼した日から、貸金業者からの取り立ては行われなくなります。
- 借金がなくなる
- 免責許可決定がおりると、借金がなくなりますので、以後は返済の負担のない状態で生活の再建に専念できます。
自己破産のデメリット
- 財産を手放す必要がある
- 20万円以上の財産(不動産や生命保険など)を処分して、債権者に分配する必要があります。
ただし、99万円以下の現金、生活必需品、高額ではない家財道具などは手放す必要はありません。
- 個人信用情報に掲載される
- いわゆるブラックリストと呼ばれている、銀行協会などの個人用情報に掲載されます。ブラックリストに掲載されると、自己破産の場合は7年間程度、住宅ローン、車のローン、キャッシングなど、新規にお金を借りることができなくなります。
- 官報に掲載される
- 破産手続き開始決定と免責許可決定の際に官報に掲載されます。
- 職業の制限
- 破産手続き開始決定から免責許可決定までの間、
弁護士・
税理士・
会社の役員(取締役、監査役)・
旅行業者・
宅地建物取引業者・
保険の外交員・
警備員などの一定の職業に就けなくなります。
- 身分証明書に破産の事実が記載される
- 身分証明書とは、本籍地の市区町村役場が交付する、破産者でないことを証明する書類です。上記職業に就職する時などに提出を求められます。
免責許可決定があると、身分証明書に破産の記載はされなくなります。
- 住所移転と旅行の制限
- 管財人が選任された場合は、破産手続きが終了するまでの間は、住所の移転(引越し)や長期間の旅行をする場合は、裁判所の許可が必要です。
自己破産の注意点
- 再利用の制限
- 過去7年以内に、
・免責許可決定を受けたことがある場合
・給与所得者等再生(個人再生の種類)を利用していた場合
・個人再生をしたが返済できなくなり免責を受けていた場合
は、原則として免責を受けることができません。
- 免責不許可事由
- ・債権者を害する目的で、財産を隠した場合
・キャッシュカードで購入したものを転売、質入れして現金化していた場合
・特定の債権者に対してのみ、債務の返済を行った場合
・浪費やギャンブルが原因で多額の借金をした場合
・一部の借入先を隠した場合
・裁判所に対して虚偽の説明を行った場合
などの場合には、免責が許可されないことがあります。
- 東京都の23区と諸島にお住まいの方
- 千代田区霞が関にある東京地方裁判所では、自己破産の相談に訪れた債務者に対し、弁護士への依頼を強く奨めるなどの運用がされています。実際、東京地方裁判所の本庁の破産申立における本人申立の占める割合は、0.5%以下であるといわれています。
このため、東京都の23区と諸島にお住まいの方が自己破産の申立てを行う場合は、弁護士に依頼しないと困難な状況にあるようです。
町田市の青木司法書士事務所では、自己破産などの債務整理のご相談・ご依頼を承っております。
町田市の青木司法書士事務所は、小田急線町田駅北口から徒歩5分(横浜線町田駅北口から徒歩10分)です。町田駅から町田市役所方面に向い、河合塾町田校を目印にお越しください。